DMP(Data Management Platform: データマネージメントプラットフォーム)製品とは、ネット上のユーザー行動や属性データ、広告配信データなど様々なデータを一元的に管理し、マーケティングに活用できる製品です。最適なユーザーへ、最適なタイミングでコミュニケーションするためのマーケティングデータとなります。
「DMP」はパブリック(オープン)DMPとプライベートDMPに大別されます。前者は多様なwebサイトが持つデモグラフィックデータの管理、後者は自社が保有する顧客取引データやリストの管理を可能とするDMPです。
Tecgence社Tecgence調べ
DMPは従来、サードパーティクッキー情報を重要なデータソースとしてきました。しかしユーザーのプライバシー保護の観点から、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者保護法)などサードパーティクッキー規制の動きが広がりました。2020年にはApple社「Safari」ブラウザでのデフォルトブロック実施、Google社も2024年から「Chrome」ブラウザでの廃止を決定しています。
そんな岐路にあるDMP業界ですが、新しい技術とデータソースが構築できる製品・サービスだけが今後も拡大していくでしょう。すなわちクライアント企業の保有するファーストパーティデータの精度アップと活用やオフライン・統計を含めた様々なサードパーティデータの活用、共通IDソリューションの連携、マーケティングオートメーション製品との連携による戦略の効率化などが挙げられます。
日本国内150万+企業サイトの導入する国産・海外テクノロジーを抽出する、テクノロジーインストレーションデータサービス「Tecgence」が2023年6月26日に解析したデータによると、「DMP」製品でダントツの人気を誇るのは東京発、インティメート・マージャー社の「インティメートマージャー(IM)DMP」でした。国内最大規模のデータを蓄積するオープンDMPです。2020年から、異なるドメイン間でサードパーティデータを連携する共通IDソリューションを提供しています。
IM-DMP 「IM Universal Identifier」仕組み
https://corp.intimatemerger.com/news/cookie-serialization-20201209-2/
第2位はプライベートDMPの「Juicer.cc(ジューサー)」です。元々大阪のPLAN-Bが開発し、現在はログリーが運営するユーザー分析DMPであり、初期設定はタグひとつだけ、無料から始められる気軽さが人気です。ビッグデータとAIにより、広告配信からABテストなど多様な機能も提供されています。
また2021年より、上記インティメートマージャー社の「IM Universal Identifier」と連携し、サードパーティクッキーを使用せずに、自社サイト以外で収集した情報(サードパーティデータ)を活用しての広告配信が可能となりました。
第3位、インターネット広告代理店のDAC(デジタルアドバタイジングコンソーシアム)社が提供するDMP「AudienceOne(オーディエンスワン)」が伸びています。自社が保有するファーストパーティデータ(サイト訪問ユーザー、アプリ利用ユーザー、会員・既存顧客などのデータ)に加えて、パートナー企業などが保有するセカンドパーティデータ(購買データ、位置データ、テレビ視聴データなど)やサードパーティデータ(属性、ライフスタイル、興味関心などのデータ)を活用します。これにより企業は、ターゲットオーディエンスの設定から分析・運用までをトータルで実施できます。
「AudienceOne」の脱クッキー動きとしては、世界でも最も利用されているIDソリューションである
「ID5」と連携しました。
AudienceOneID仕組み
https://solutions.dac.co.jp/blog/audienceone-id5-seminar-report
Tecgenceが解析するDMP製品(2023年6月現在、20製品)
Adobe Audience Manager、Nielsen DMP、Oracle DMP、LiveRamp、Cxense、AudienceOne、Navegg、GenieeDMP、Lotame、Neustar Identity Data Managemen、Juicer.cc、Intimate Merger、Retargetly、Rocket Fuel、Rtoaster、Salesforce DMP、smarticA! DMP、Sojern、Turn、Weborama