世界のテクノグラフィック記事を紹介
ノルウェーのSaaSマーケティング企業APSISブログから抜粋:
よくある顧客セグメンテーションの失敗と回避方法
前回までの記事を読んでいただければ、顧客セグメンテーションの何たるかはご理解いただけたと思います。しかし実際に立案・実施してみると、意外に結果を狂わすミスが多くあるものです。そこで、よくある顧客セグメンテーションの失敗と、その回避方法についてご説明します。
- 市場サイズが小さすぎる
そもそもマスマーケティングを分類したい人は少ないでしょう。細分化・ニッチな市場セグメンテーションを正確にしたいと設計する方が多いことは当然です。しかしニッチ・特殊な市場セグメントを行った場合、顧客の母集団が多くないためにデータの拡張性が担保できません。
つまり高い有効性のあるデータを得るためには、少し広い市場をセグメントすることが大切です。
- ROI (投資利益率)を無視
まずどのようにターゲット市場をセグメントするかをリサーチしましょう。その際、その市場セグメントのROI(投資利益率)を考慮しないまま進めてしまケースもあるようです。しかしROIが悪い市場セグメントへの自社サービスや製品投入を選んでしまったら、全ての苦労は無駄になってしまいます。
マーケティング戦略やコミュニケーション、顧客セグメントなどが自社のターゲットROIを得られるか否かを考慮することをお勧めします。
- 新しい市場と顧客に取り残される
市場は常にダイナミックであり、顧客の移ろいやすいニーズに呼応して変化しています。もし自社のセグメンテーション戦略が市場のダイナミクスに即していないなら、新規の市場開拓や顧客獲得は困難となるでしょう。
もちろん設計したセグメントが有効であることが大切ですが、そのデータが変化していくことを前提に、プロアクティブ的に対策していく必要があるでしょう。
- データ収集のゴールが曖昧
セグメントを設計する際には、どのメトリクスを分析するのか?を明確にしてください。ゴールやメトリクスとの相互性の確認も大切です。顧客セグメンテーション戦略に明確な結果を得たいのなら、想像や思い込みの余地はありません。
顧客セグメンテーションの効果
マーケティングキャンペーンの究極の目的は、刺さるメッセージを適切な人へ、良いタイミングで届けることです。顧客セグメンテーションは深い分析により顧客ペルソナを把握して、この目的を達成させるために行います。つまり顧客を、顧客全体という大きなグループから、顧客のニーズや要望に即した分類化を行い、より小さく絞り込まれたグループへ落とし込むことです。
顧客セグメンテーションの効果は以下です:
- 価格最適化
自社の顧客を深く知り、そのニーズや要望を知れば知るほどに、自社製品やサービスの価格や機能などを最適化する必要が生まれるでしょう。製品やサービスの値付けひとつを考えても、最適な価格帯は顧客を継なぐ必須要素です。
自社と顧客双方にとって適切な価格なら、ビジネスゴールは確かなものとなるでしょう。更に、リソースへの配分や予算なども上手くいくようになるでしょう。
- ブランド認知
さまざまな顧客セグメントの詳細な内容が分かるようになると、ターゲットへのコミュニケーションも更にパーソナライズされたものとなるでしょう。
もし自社のオーディエンスへ適切なメッセージを到達できたなら、気に入ってもらえることにより理解が深まり、自社がブランドとして記憶されることでしょう。将来的には、ブランド名を記憶されていることから、また、個人的に良いイメージがあることから、最終的に購入してもらえるかもしれません。
- 競合製品をリード
顧客の細かい情報を得ると、効果的なコミュニケーションを可能にします。顧客からの認知も増えるので、結果、収益も増すでしょう。これらにより自社の競争力は向上し、更にビジネスがランクアップする可能性があります。
更にプロアクティブ的な事業戦略として、新しい製品分野を開拓し発展させていく方法もあるでしょう。
- 顧客維持と新規開拓
顧客セグメンテーションによって顧客とパーソナルな関係を築くことができ、ひいては、顧客ロイヤルティを得ることが可能でしょう。多くの顧客が維持される結果となります。
顧客セグメンテーションは新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客との良好なコミュニケーションを可能とします。
- 効果的な予算
自社のマーケティングコミュニケーションで顧客をターゲティングした場合、正しく絞り込めたならば、効果的に自社オーディエンスに到達可能となり、結果としてマーケティングコストの削減となります。
逆に顧客をセグメント出来なかった場合、広範囲なコミュニケーション戦略では絞り込んだコミュニケーションのようなパーソナル性は叶いません。
- ROIの改善
ユーザーのメールボックスにニーズに合った情報を届けることが出来たなら、購入してもらえる可能性が高くなります。顧客セグメンテーションによって、どのセグメント内の受信者にふさわしいパーソナル化した内容を送ることができるでしょう。
ターゲットに送られたキャンペーンは通常よりも格段に高い開封率となります。つまりは高いROIと収益アップをもたらすマーケティング戦略となるでしょう。
- 見込み度の高いリード
戦略に沿ったセグメントが上手くいくようになると、自社マーケティングコミュニケーションやセールス資料や製品説明などもターゲットに見合った内容に変わってきます。見込み度が高いリードにも効果的なコミュニケーションが可能になるので、様々なオーディエンスから新規獲得が実現できるでしょう。
- 新しいニッチ市場を発掘
セグメントする過程で行ったリサーチや分析は、商品開発や市場機会に活かせる貴重な財産となります。顧客の本当のニーズが把握できるからです。もちろん、実際に開発となった際には、更なる市場分析が必須となります。
- ポジティブな顧客体験
顧客セグメンテーションはパーソナライズ化した経験を提供できる事からも、どんな製品や業態においても大切な戦略となります。例えば自社顧客の日常生活において重要視される出来事を把握できれば、自社製品による顧客の思い出に残るような体験を提案できるからです。
これにより自社製品は顧客にとって最も嬉しい、人に勧めたいものとなるでしょう。
最後に
多くの企業はいま、顧客セグメンテーション戦略を構築して、ターゲットオーディエンスへ効果的に到達するまたは新規開拓を模索しています。しかし未だ徹底対策せず、中途半端なアプローチを続けていれば効果は生まれません。
顧客セグメンテーションは、複数部署が参加して製品開発からアフターサービスまで行って自社のパフォーマンスを向上させる戦略です。どんな企業であっても狙い通りの事業展開を可能にする可能性を多く秘めているのです。